拝啓、愛しのパイロット様

「そもそも届いてないんじゃないか?」
「えっ?」

 目から鱗の発言に、小町は疑り深げに由桔也を仰ぎ見た。

「届いていないなんて、あるんですか?」

 投函から三週間以上も経過していることを考えれば、まだ配送中とは考えにくい。

「『紛失』したのかも」
「紛失?」
「エアメールにはよくあることだ。海外だと日本ほど厳密に集荷・配達されているわけでもない。むしろ、今まで出した分が全部届いていたのがすごかったのかもしれないな」

 郵便物の扱いが国によって大きく異なるのは当然の話だ。

 住所があやふやでも切手さえ貼っておけばどうにかなる日本とは事情が違うのも当たり前。

 手紙の枚数だけを比較して、失くしたと思い込んだだけで、そもそもちゃんと受け取れていたのか、記憶が定かではない。

(じゃあ私の早とちり?)

 エアメールをもらい慣れていない小町には、手紙そのものが行方不明になるなんて、考えが及ばなかった。

 由桔也の推測が正しければ、手紙がないのも頷ける。

「だから小町が悪いわけじゃない。そんなに気にするなよ」

 由桔也はそう言うと、小町の頬に指を滑らせ、うっすら残る涙のあとを拭きとってくれた。
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