拝啓、愛しのパイロット様
「す、すみませんでした。手紙が届かないぐらいで大げさに騒いでしまって……」
手紙が届かないのが不可抗力だとわかった途端に、子どもみたいに取り乱していたことが急に恥ずかしくなってくる。
自分自身に呆れ返りひたすら反省していると、由桔也の表情がふっと緩んだ。
「というか、俺が手紙を書くのをサボったとは考えなかったんだな」
「あ、う!その……」
ふふんと自信ありげに指摘され、思わず目が泳いでしまう。
たしかに、本来なら真っ先に疑いそうなものだけれど、小町は約束を反故にされたとは一度も思わなかった。
「信頼されていてうれしいよ。俺が本気だって伝わってるってことだろう?小町も俺に惚れてるんじゃないか?」
由桔也がダメ押しのようににんまりと微笑むと、かあっと顔に熱が集まるのがわかった。
「どうした?もしかして図星か?」
「み、見ないでください!」
小町は腕を顔の前でクロスさせ、必死になって表情を隠そうとした。
きっと、今顔を見られたら、すべて見抜かれるに違いない。
海を越えた手紙の存在は、知らず知らずのうちに心の空白を埋めつつあった。
一度自分の気持ちに気づいてしまえば、あとは誰にも止められない。