拝啓、愛しのパイロット様

(私は由桔也さんが好きなの?)

 混乱の渦の中でたどり着いた結論が自分でも信じられなくて、恐るおそる由桔也を仰ぎ見る。

 すると、驚いたように目を見開く由桔也と視線がぶつかった。

「あーもう!その反応は反則だろう?この間はめちゃくちゃ我慢したのに……」

 自ら敗北を認め、悔しそうにつぶやいたかと思えば、今度はすっと真顔になる。

「十秒数える。嫌なら突き飛ばして逃げてくれ」
「え?」

 由桔也は髪をぐしゃりとかきあげたあとで、小町の顔を挟むように両頬に手を添えた。

「十、九、八――」

 いきなりカウントダウンが始まり、凛々しい顔が徐々に迫ってくる。唇が重なるのは時間の問題だった。

(私は……)

 自分の気持ちを自覚したばかりで、彼に惹かれているのかも、本当のところよくわかっていない。

 愛はいつか冷めるものだと知りながら、それでも誰かに心動かされるなんて愚かにもほどがある。

 同じ過ちを繰り返して、傷つくのはわかりきっているからこそ、この気持ちに名前をつけるのを躊躇ってしまう。
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