拝啓、愛しのパイロット様
(怖い……)
小町の瞳が不安で揺れたそのとき、カウントダウンがとまった。
親指の腹で唇を撫でられて、思わずピクンと身体が反応する。
緊張でガチガチな小町の耳に、クスリと笑い声が漏れ聞こえる。
「好きだよ。手紙なんかじゃ伝えきれない」
とびきり甘い声色で囁くように告げられ、迷いがどこかへ吹き飛んでいく。
(信じてもいいの?)
由桔也の気持ちに応じるように目を瞑ったその直後、静寂とともに柔らかい唇が下りてくる。
小町を怖がらせないようにゆっくり交わされる口づけはどこかじれったい。
チョコレートが溶けるようにじわじわと、優しい熱で愛で溶かされ、小町の頭の中は次第に由桔也でいっぱいになっていった。
唇が離れたときには、恥ずかしげもなく物足りないとさえ思えた。
「また書くから」
由桔也はそう言うと、まだ夢見心地の小町の身体をぎゅっと力強く抱き締めてくれた。
逞しい胸板に耳を当てると、彼の心臓の鼓動が聞こえてくる。
トクントクンと刻まれる一定のリズムに、不思議な居心地の良さを感じた。
(由桔也さんを好きになってもいいのかな?)
小町はすべてを委ねるように、由桔也の背中に腕を回した。
たどたどしい動きには、まだ迷いが残っていたが、彼の腕の中がなによりも安心できる場所なのだと、小町は本能で気づき始めていた。