拝啓、愛しのパイロット様
『長らくお待たせいたしました。BCJ234便、6時50分発新千歳行き、ただいまよりご搭乗手続きを開始いたします』
そうこうしている間に、アナウンスがあり、乗客がずらりとゲートの前で行列を作り始める。
小町も他の乗客にならい、キャリーケースを引きながら列に並んだ。
チケットを機械に当てゲートを通りすぎると、いよいよ飛行機に乗り込んでいく。
小町はボーディングブリッジを歩きながら、コックピットへチラリと視線を送った。
こちらからは逆光でよく見えないが、あの小さな窓からブリッジの様子が見えるのだろうか。
(由桔也さんに聞いておけばよかったな)
ブリッジを通り過ぎて飛行機の中に入ると、通路を歩きつつ自分の座席を探す。
キャリーケースを頭上の手荷物スペースに納め、指定された座席に座りシートベルトを着用したら、ようやくひと息つける。
機体中央部の窓際の席が取れたおかげで、小さな窓からは地上職員が忙しなく働いている姿がよく見えた。
(落ち着かないな)
小町は昂った気持ちを抑えようと、何度も深呼吸をした。
離陸時間が近づくにつれ、通路を歩く乗客の数が少なくなる。
CAが手荷物スペースの扉をひとつずつ確認し、ブリッジと繋がっていた分厚い扉が閉められてから数分後。
機体が後ろ向きに動き出すと、小町は由桔也の言葉を思い出した。