拝啓、愛しのパイロット様
7.グッデイ
(なんで由桔也さんが女性と一緒に?)
由桔也が女性と一緒にいるところを目撃した小町は、まるで足の裏が地面に縫いつけられたようにその場から動けなくなった。
するりと手から力が抜けていき、危うくスマホを落としそうになり、すんでのところでキャッチする。
(落ち着いて)
小町はバクバクと激しい動きを始める心臓を落ち着けようと、大きく息を吸った。
女性と一緒だからといって、狼狽える必要はない。
彼もステイ先で同僚と食事に行くときだってあるだろう。
そうして、自分自身を納得させようと試みるが、やはり一度覚えた違和感は拭えない。
由桔也と腕を組んでいる彼女が、制服を脱いだCAだとはとても思えない。
そもそも恋人でもない男女が腕を組んで外を出歩いたりしない。
なにより、彼女と肩を並べる由桔也の顔つきが如実に語っている。
心を許したものにしか見せないであろう油断しきった柔らかな表情が、彼女と親しい仲だという動かぬ証拠だ。
(綺麗な人……)
夕方で日が翳り始めているにもかかわらず、スラリと伸びた長い手足に映えるマキシ丈のプリーツワンピース姿がキラキラと眩しく映る。
長い裾を翻しながら歩く様子は、東京の煌びやかなファッション街からそのまま飛び出してきたかのようだ。
腰までのびた艶やかなチョコレートブラウンのストレートヘアーが風になびく度に、胸がざわついて息苦しくなる。
出張中で仕方ないとはいえ、地味なビジネススーツ姿の自分がみっともなく思えてきてしまう。