拝啓、愛しのパイロット様
(どこへ行くんだろう)
まるで恋人同士のように仲睦まじい様子をぼうっと眺めているうちに、ふたりの後ろ姿が徐々に小さくなっていく。
小町は居ても立ってもいられず、キャリーケースを抱えながら、こっそりあとをつけた。
ふたりは腕を組んだまま通りを歩き続け、最初の角を曲がると、ホテルの裏手にあったカフェの中に入っていった。
奥まった場所にあるテーブル席に通されたのを店の外から確認したあとで、小町も同じカフェに足を踏み入れる。
ふたりがよく見える席に陣取り、ジャケットを脱ぎつつ、さりげなく目で追う。
メニューを眺める振りをしながら、あちらの様子を窺うものの、時間が経つにつれ次第に冷静になっていく。
(つい、あとをつけちゃったけど……)
コソコソあとをつけ回すような真似をしたせいなのか、後ろめたさで心がいっぱいだ。
なんとか気を紛らわせようとテーブルに届いたカフェオレを飲んでみても、嫌な動悸はいつまでも収まりそうにない。