拝啓、愛しのパイロット様
「どういう意味だ?」
突然の由桔也は訝し気に眉をひそめるばかりだ。
小町は覚悟を決めグッと顔を引き上げ、彼を睨んだ。
「私、見たんです。由桔也さんがこの間、新千歳にフライトで出かけたとき、ステイ先で女性とふたりきりで会ってましたよね」
心当たりがあったのだろう。由桔也は驚いたように目を見開いた。
「小町も来ていたのか?」
小町は問いかけにあえて答えず、そのまま続けた。
「とても綺麗な女性でしたね。本当にお似合いでした。指輪まで渡して、上手くいきそうじゃないですか」
由桔也の想い人が自分ではないと説明しなければいけないなんて、なんだか泣きそうだ。
まぶたに力を入れぐっと堪えていると、由桔也目に見えては焦り始めた。
「なにか勘違いしていないか?たしかに、俺はあのとき女性と会っていた。でもあれは――」
「弁解なんて聞きたくありません!」
この期に及んで誤魔化せるなんて、勘違いも甚だしい。
小町はこの目で見たのだ。指輪を渡した彼女の高揚した表情と、恥ずかし気に微笑む由桔也の顔を。
「由桔也さんを信じようとした私がバカだったんだ……」
甘い言葉に惑わされて、まんまと好きになってしまった。
あのまま恋愛なんて信じなければ、こんな想いをせずに済んだのに、なんて愚かなのだろう。