拝啓、愛しのパイロット様

 ◇

 羽田空港に到着すると、ターミナルビルの中は人でごった返していた。

 事故の影響なのか、飛行機の離発着を知らせるモニターには、欠航や到着地変更の文字がいくつも並んでいる。

 行き場を失った人たちはカウンターに立つグランドスタッフに説明を求めたり、大きなスーツケースを抱えながらビル内を右往左往しており、どの椅子にも疲れ切った表情の人々が溢れかえっていた。

(すごい人ごみ……)

 年末年始や大型連休でもお目にかかれない、ただ歩くだけで人と何度もぶつかってしまうほどの大混雑だ。

 思わず足がすくんでしまうが、必死で己を奮い立たせる、

 タクシーの中で炎上した飛行機の空撮映像を見たが、おびただしい数の消防車が機体に向かって水を放射していた。

 機体を包み込んでいた真っ黒な煙が、被害の大きさを示している。
 もしあの中に由桔也がいたとしたら――想像するだけでぞっとする。

(とにかく、由桔也さんが無事かどうか確かめなきゃ)

 闇雲にひとに尋ねても仕方ない。
 小町はまずはBCJのサポートデスクへ足を向けた。

「すみませんっ!今日起きた事故についてお尋ねしたいんですが――」

 なんとかして事故の情報を手に入れようと、カウンターに立つグランドスタッフに話しかけるが。

「申し訳ありません。事故に関しましては、現在調査中です」

 スタッフは小町が言い終わらないうちに、申し訳なさそうに頭を下げ、有無を言わさず会話を終わらせてしまった。

 その後も何度も食い下がったが、なにもわからずじまいだった。
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