拝啓、愛しのパイロット様
「栞奈さんのこと、勝手に勘違いして、つらく当たって本当にごめんなさい」
「いや、あれは俺も悪かった。栞奈と腕を組んで歩くのが習慣になってたんだ。そもそも栞奈に会うって言っておけば――」
「違います。私が悪いんです!」
自分が悪いと謝っているのにこちらにも非があると言われてしまったら、立つ瀬がない。
先にサプライズを目論んだのは小町だ。
出張のことを伝えていたら、こんなすれ違いは発生しなかったはずである。
「今日はやけに素直だな。明日は雨でも降るんじゃないか?」
「からかわないでください……」
「雨どころか雪かもしれない」
「もうどっちでもいいです……」
どっと身体の力が抜けた小町は、由桔也のたくましい胸に顔を埋めた。
最早、雨でも雪でもどちらでもいい。そばにいてくれるのなら、嵐だろうと大雪だろうとかまわない。
「あはは!」
ここ数日の張り詰めていた空気が一気に和らぎ、由桔也はうれしそうに声をあげて笑った。