拝啓、愛しのパイロット様

 ◇

 気持ちを伝え合いようやく仲直りしたふたりは、一緒に由桔也のマンションへ帰宅した。

 空港を出る際に、実登里と栞奈に電話で彼の無事を伝えると安堵していた。

『ああ、もう!本当によかった!明日は今日の分まで、手伝ってもらうからね!』

 無事がわかるやいなや、栞奈は笑ってそう言っていたが、誰よりも弟の安否を心配していたに違いない。

 夜になり、BCJは事故の詳細を発表した。
 事故の原因は、バードストライクによる油圧システムの故障だった。

 着陸直前、油圧システムの一部の制御を失った機体が正常な着陸姿勢がとれずに、胴体から着陸したことにより火災が発生したという。

 日頃の安全訓練のおかげで、幸いなことに事故による死者はおらず、怪我人も軽傷で済んだらしい。

 こうして波乱だらけの個展の初日が幕を下ろしたわけだが、まだふたりの夜は終わらない。

「さっきからどうしたんだ?」
「あ、ごめんなさい。邪魔、ですよね……」

 帰宅してからというもの、小町は生まれたてのひよこのように由桔也のあとをつけ回していた。

 コーヒーを入れにキッチンに立ったり、スーツケースの中身を整理する由桔也の半径一メートル以内にピタリと張りつき動こうとしない。

 彼を失っていたかもしれないと思い詰めていた反動なのか、離れているとなんだか落ち着かないのだ。
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