拝啓、愛しのパイロット様
(ずるい)
そんな風に好きな人に見つめられて、どうしてダメだと言えるだろう。小町は身悶えしながら、由桔也の首に腕を回し、自分から唇を重ねた。
「私も由桔也さんに触れたいです」
一度口にしてしまえば、もうとめられない。
由桔也は小町を抱き上げ、そのまま寝室へ運んだ。
ふかふかのマットレスに横たわるのは、初めてこのマンションを訪れたとき以来だ。
あのときは神城のストーキング行為のせいで不安でいっぱいだったけれど、今は別の意味で震えている。
「小町」
愛しい男から呼ばれると、自分の名前が世界で一番で特別だと思えるから不思議だ。
一枚、また一枚と服を脱がされ、一糸纏わぬ姿で抱き合い身体を重ねていくと、胸の中にあった空白がすべて埋まっていくのがわかった。
(本当は簡単なことだったのかもしれない)
小町に足りなかったのは、愛情を信じるほんの少しの勇気だけだった。
一歩踏み出した先にある景色がどんなものであれ、受け入れようと思えたのは間違いなく由桔也のおかげだ。
「由桔也さっ……」
「好きだよ、小町。もう放さない」
由桔也は小町の目から流れた涙を指で拭い、自分が発した言葉通り、その夜小町を放すことはなかった。