拝啓、愛しのパイロット様
9.スカイハイ
長かった残暑がなりをひそめ、ようやく本格的な秋が訪れた今日この頃。
薄手のパジャマで寝たせいか、小町は明け方になり寒さを感じて目を覚ました。
「ん……」
ベッドの上にあるはずの毛布を手繰り寄せようとあちこち手を伸ばすと、誰かが先回りして身体にかけてくれる。
「おはよう、小町」
「おはようございます」
由桔也は毛布にくるまったままの恋人の額に目覚めのキスを贈った。
朝、起きると彼が隣に寝ていて、そっと笑いかけてくれる。そんな当たり前の日常がなにより愛おしくて、胸がくすぐったくなる。
「昨日は何時ごろ帰ってきたんですか?」
「深夜の二時ぐらいだったかな?」
わだかまりが解けて以降、小町は由桔也のベッドで寝起きしている。
寝ている小町を起こさないようにこっそりベッドに潜り込むのは由桔也の得意技だ。
「おかえりなさい」
「ただいま」
やや手狭なセミダブルベッドで身を寄せ合っていると、このあと仕事に行かないといけないとわかっていても、ずっと彼の顔を眺めていたくなる。
「由桔也さんは、今日はお休みですよね」
「ああ。夕食は小町が好きなものを作っておくから、期待しておいて」
「ふふっ。うれしい!」
家に帰れば由桔也と美味しい夕飯が待っていると考えるだけで、今日も一日頑張れそうだ。