拝啓、愛しのパイロット様
(一体なんの用件だろう?)
エレベーターの階数表示を見つめながら、呼び出された理由について考えを巡らせてみる。
もしかしたら、懲戒解雇された神城に関係あるのだろうか。
緊張しながらエレベーターを降り、社長室の扉をノックすると「どうぞ」と言われ、入室を許可される。
「失礼します」
「ああ、仁科さんだね。座ってくれるかい?」
「はい」
グレーヘアの中肉中背のどこにでもいそうな小柄な男性は、人の良さそうな笑みを浮かべながら小町にソファに座るようすすめてくれた。
彼がスターライト文具の社長――神城隆二氏だ。
(うわあ!本物だ!)
小町は色めき立った心を隠しつつ、社長室の中央にあるソファに腰かけた。
まるで街中で偶然芸能人と出くわしたかのようだ。
神城社長といえば、スターライト文具の数々の看板商品の生みの親であり、稀代のヒットメーカーと言われている。
もちろん小町の憧れの人でもある。