拝啓、愛しのパイロット様
「ただいま」
「おかえり。ちょうどよかった。今出来上がったところだよ」
その夜、帰宅した小町を出迎えてくれたのは、由桔也の笑顔と美味しそうな料理だった。
リビングには香ばしい匂いがそこかしこに漂っており、早く食べたいと主張するようにお腹がぐるぐると鳴りだす。
由桔也は小町が好きだと言っていたバルサミコソースがかかった豚肉のグリルを作って待ってくれていた。
ダイニングテーブルについた小町は食事の前に、早速神城の件と企画書の採用について由桔也に報告した。
「そうか。心配事がひとつ減ってよかったな」
「はい。正直安心しました」
「とっておきのシャンパンを出そう。ちゃんとしたお祝いは後日しような」
「ありがとうございます」
由桔也は椅子から立ち上がり、ワインセラーからとびきり高そうなシャンパンを取り出して戻ってきた。
コルクを抜き、シャンパンをグラスに注ぐと、シュワシュワと綺麗な黄金色の泡が浮かび上がる。
「小町の夢に乾杯」
「乾杯」
ふたりで味わう美酒は新たな門出を祝福するかのような格別の味がした。
「さあ、冷めないうちに食べよう」
「はい」
小町は明日から始まる新しい日々に想いを馳せながら、由桔也が作った料理に舌鼓を打った。