拝啓、愛しのパイロット様
(本当にずるいよな)
まんまと狙い通り喜んでしまうのも、惚れた弱みだ。
なんだかんだ言いつつ、彼からもらった手紙は五十通を超えている。
小町ばかりもらっていたら、やっぱりフェアじゃない。
「あの……由桔也さんに渡したいものがあるんです」
「なに?」
小町はトートバッグからあの日渡すつもりだった手紙を取り出し、由桔也の目の前に差し出した。
「手紙?」
「由桔也さんが個展の準備でいない間に書いたんです。誤解も解けたし渡さなくてもいいのかなとも思ったんですけど……」
実は渡すかどうか散々悩んだが、きっと今を逃したら、この先渡す機会に恵まれないだろう。
あとから読み返してみたら、文章もぐしゃぐしゃな上に支離滅裂で、とても読めたものじゃない。
できれば一生封印しておきたいところだけれど、それでもあのとき感じた気持ちをなかったことにはしたくなかった。