拝啓、愛しのパイロット様
「どうした?」
「え、あ!?由桔也さん?」
おっかなびっくり後ろを振り返ると、キョトンとした顔の由桔也が立っていてなおさら驚く。
神城がしつこく追いかけてきたのかと思って、つい身構えてしまった。
「交差点を走っていくのが見えたから追いかけてきたんだ」
「そ、そうだったんですね!」
「なにかあった?」
由桔也は息を切らした小町を眺め、不思議そうに首を傾げた。
まさか正直に、勘違い上司を振りほどくために全力疾走しましたなんて、答えられるわけがない。
「ち、遅刻するとまずいと思って走ってきました!」
「なんだ。連絡くれれば、いつまでも待ったのに」
適当な言い訳で誤魔化そうとする小町を由桔也はクスリと笑った。
別の意味でも体温が上がりそうになってきて困る。
「じゃあ行こうか」
合流したふたりは気を取り直し、横並びで歩きだす。
デパートにはすぐに到着した。
買い物客を出迎える煌びやかな正面玄関には、本格的な夏が目前に迫った今、浮き輪やスイカを模したモニュメントや、涼しげな水着のマネキンが飾られていて、買い物気分が否応なしに高まる。