拝啓、愛しのパイロット様
「実登里先生、オシャレだから、なにを選んだらいいか迷いますね」
「書道に使う道具は自分で選びたい人だから、物を贈るならアクセサリーとか、ちょっとした小物の方が喜ぶんじゃないかな?」
「なるほど」
もっともなアドバイスを受け、小町はふむふむと頷き、中央にあるエスカレーターに乗る。
目的は小物売り場のある三階の婦人服フロアだ。
小物を取り扱うショップをひとつひとつ回り、よさそうなものを次々とピックアップしていく。
そうして目を凝らしながら通路を歩いていると、マネキンの首に巻かれていたシルクのストールがふと目に留まる。
「あっ。このストールなんて、どうですか?とっても素敵な色ですよ」
ラベンダー色の触り心地のいいシルクでできたストールは、天井からの照明の光を受けて、キラキラと輝いていた。
夏でも室内は冷房で冷えることもあるし、薄手のストールはきっと役に立つだろう。
「うん、いいね。これにしようか」
由桔也もピンときたのか購入を即決すると、ショップの店員を呼び、ストールをプレゼント用に包装してもらった。
お会計を終え、ストールを受け取った頃には、時刻は八時を過ぎていた。
「よかったら、食事をしていかないか?今日のお礼にご馳走するよ」
「いいんですか?」
「もちろん」
「ありがとうございます」
神城から逃げるために全力で走ったせいか、お腹はすでにぺこぺこの状態だ。
小町は彼の言葉に甘えさせてもらうことにした。