拝啓、愛しのパイロット様

 ◇

 こうして、小町の居候生活は静かに幕を開けた。
 荷物の移動から一夜明けた日曜は、仕事に行く由桔也を見送り、持ち込んだ荷物の整理と、必要な消耗品の買い出しをして過ごした。
 家電の使い方を覚え、軽く部屋の掃除をしたら、あっという間に一日が終わる。

(明日から仕事か……)

 ソファに座り、ひとり今後の自分の身の振り方について考えてみたものの、有効な解決策がすぐに思いつくはずもなく。
 そうして、仕事のない土日を由桔也のマンションで過ごし、とうとう週明けの月曜日がやって来る。

「おはよう」
「おはようございます」

 朝の六時過ぎ、起床した小町がリビングに行くと、由桔也はキッチンに立ち朝食を作っていた。

「私も手伝います」
「じゃあ、カウンターの上にある皿をテーブルに運んでもらえるか?」
「わかりました」

 指示された通り、出来上がったばかりの朝食をテーブルに並べていく。
 今日の朝食は和食だった。
 わかめのみそ汁に、卵焼き、鰹節としらすののった豆腐、そして海苔を巻いた鮭のおにぎり。
 どれも美味しそうな湯気が立っている。
< 67 / 110 >

この作品をシェア

pagetop