拝啓、愛しのパイロット様

「これでも今月は余裕がある方なんだぞ。繁忙期なんてもっとすごいからな」

 年末年始や、大型連休のある月は、飛行機は次から次へと空港に到着しては、どこかへ飛んでいく。
 出発ロビーのごった返した様子はもはや風物詩のようなものだが、パイロットをはじめとする航空関係者にとって他人事ではない。きっと目の回るような忙しさなのだろう。

「午後から仕事なら、もっとゆっくりされたらよかったのに。私のことは気にしないで大丈夫ですよ」

 小町は出勤時間が決まっているので、起床時間が一定だが、由桔也はそうもいかない。
 疲れた身体を休めるために少しくらい朝寝坊しても、きっとバチは当たらない。
 気をきかせたつもりだったのに、なぜか由桔也はふっと噴き出した。

「なに言ってるんだよ。小町に会いたくて早起きしたに決まってるだろう?」

 小町をからかうように、ニヤリと口の端を上げるその表情に顔が熱くなっていく。

< 69 / 110 >

この作品をシェア

pagetop