拝啓、愛しのパイロット様
好きだと言われたことを忘れていたわけではないけれど、一度意識してしまったら、居候生活が破綻する気がして、あえて考えないようにしていた。
けれど、由桔也はそんな小町の心を見透かしたかのように、揺さぶりをかけてきた。
(意地悪だ)
これからの居候生活、とても一筋縄ではいかない気配がする。
恨めし気に由桔也を見つめ返すと、彼は満足げに微笑んだ。
「食べ終わったら、会社まで送ってくよ」
「え?」
「小町にはいざというときに頼れる男がいるんだって、周りにアピールしておいた方がいいだろう?ストーカー紛いのことをしでかす男が同じ空間にいるなら、なおさらだ」
自ら騎士役を買ってでてくれた由桔也は、小町が呆気に取られている間に、朝食の皿をシンクに下げ、片づけを始めた。
(一緒に来てくれるんだ)
会社まで送ってもらえることになって、正直ホッとしている自分がいる。
あんな出来事があったあとだから、ひとりで会社に行くのには勇気が必要で、小町は彼の提案をありがたく受け入れたのだった。