拝啓、愛しのパイロット様
朝食を食べ終わり、身支度を整えると、ふたりでマンションを出る。
さすがに車で送ってもらうのは気が引けたので、出勤には電車を使った。
満員電車に揺られること四十分、ようやく会社の最寄り駅に到着する。あとは大通りに沿って、会社まで歩くだけだ。
「小町の会社は駅から少し離れているんだな」
「そうですね。でも、静かでいいですよ」
「たしかに」
由桔也はたわいのない会話を交わしながら、つかず離れずの距離で隣を歩いてくれる。
(ついてきてもらってよかった)
会社では例の件に関して口に出せない分、事情を知る由桔也に一緒にいてもらえて心強かった。
それでも、会社の中というわけにはいかない。
「由桔也さん、そろそろ――」
会社のエントランスまであと三十メートルというところで、隣を歩く由桔也の方に顔を向けたそのとき、神城がこちらに歩いてくるのが視界に入る。
(うっ……)
なるべく顔を合わせたくなくて、とっさに目を逸らす。
「小町?どうした?」
そんな小町の異変に気づいたのか、由桔也は心配そうに尋ねた。