拝啓、愛しのパイロット様
「あ、あの!ちょっとそこの自販機でお水を……」
「仁科さん!」
なんとかやり過ごそうとしたが、神城の方が一手早かった。
神城は小町を見つけるやいなや、息を弾ませながら満面の笑みで走り寄ってくる。
「か、神城部長……」
小町はげんなりしながら、その場に立ち止まった。
「俺の気持ち、伝わったよな?」
神城は、開口一番、一切悪びれもせずにそう告げた。
どこからそんな自信が湧いてくるか甚だ疑問だが、小町が感動してお礼を言うのを待っている。
まるで悪夢みたいだ。
(やっぱり神城部長がやったんだ)
疑惑が確信に変わり、大きなため息がでてくる。
チラリと由桔也を仰ぎ見ると、彼も戸惑った様子で小町を見つめ返してきた。
なにか言いたげに黒目をそろりと動かしていたが、伝えたい内容は察せられた。
『この男がやったのか?』
小町は、『はい』とばかりに頷いた。
まさか、自分の仕業だとあちらから白状してくるなんて思ってもいなかったのだろう。さすがに間抜けすぎる。