拝啓、愛しのパイロット様

(どう答えるべき?)

 できるだけ穏便にすませたいけれど、なんと返したら神城を刺激しないで済むのだろう。
 頭を巡らせ考えていると、なんと由桔也が先に行動に移し始める。

「小町の会社の方ですか?」

 由桔也は実に堂々とした態度で神城に話しかけた。
 ただし、丁寧な口調とは裏腹に、よそ行きのきどったような声色だった。

「は?誰だ?」

 神城は小町の隣に立つ由桔也の存在に今しがた気がついたのか、まるで不審者を見るような訝しげな眼差しを向ける。
 自分で仕掛けたサプライズを褒め称えられる機会を邪魔され、機嫌が悪そうだ。

「彼女がいつもお世話になっています」

 由桔也はそう言うと、神城から守るように小町の左肩をふわりと抱き、極上の笑みを浮かべた。

「初めまして、彼女の婚約者の宇佐美由桔也です」
「ゆ、由桔也さん!?」

 ぬけぬけと嘘をつく由桔也に、思わず驚きの声をあげるものの、『話を合わせてくれ』と目で訴えかけられ、慌てて口を閉じる。
 驚いているのは神城も同じだ。
 『婚約者』という単語に一瞬ポカンとしていたが、意味を理解するなり、カッと目を見開く。
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