拝啓、愛しのパイロット様
「私も手伝います」
「じゃあケーキを皿に移してくれるか?」
「わかりました」
小町は指示された通り箱からケーキを取り出し、金縁のプレートにのせていった。
実登里が買ってきてくれたのは、大きなイチゴがのったショートケーキだ。
ツンと尖った三角形のフォルムが美しく、いかにも美味しそうな見た目に頬が緩む。
「お待たせしました」
ケーキの準備が終わると、来客の待つリビングまで運ぶ。
小町がテーブルの上にプレートを並べている途中、実登里はうふふと小さく笑った。
「ふたりとも息がぴったりね。仲良くやってるみたいでよかったわ。一緒に暮らしてるって最初に聞いたときは驚いたけれど」
キッチンでのやり取りを聞いていたのだろう。安堵したように小町に微笑みかける。
実登里を介して知り合った以上、由桔也と一緒に暮らし始めた経緯を説明しないわけにはいかない。
要点だけをかいつまんで話したのはつい一週間前のことで、実登里が心配するのも無理はない。
「由桔也さんにはたくさん助けてもらって……。すぐ出て行く予定ですので」
「あら、全然いいのよ!ふたりが決めたことに、私が口を出すのもおかしい話だもの」
心苦しい胸の内を正直に打ち明けると、実登里は慌てて首を横に振った。