拝啓、愛しのパイロット様
意見を求められた小町は三つの書をまじまじと見つめた。
どの書も実登里にしか作りだせない独特の勢いと迫力があり、彼女の書道家としての誇りとこだわりを見事に体現している。
小町はうんうん唸り、たっぷり悩んだ末に、ある結論を出した。
「ひとつに決めるなんてもったいないです。いっそのこと、三種類作るっていうのはどうでしょうか?」
優柔不断だと思われそうだが、どれもボツにするには惜しい。
恐るおそる提案すると、由桔也と実登里は互いに顔を見合わせた。
「そうね。それがいいかも!」
「いいんじゃないか?」
「よかったあ。じゃあ、このまま話を進めますね」
ふたりの賛同を得られて、小町はホッと胸をなで下ろした。
方針が決まると、今度は金額的な内容をつめていく。
ポストカードの種類が増えても納期に影響はないが、印刷代が少し変わってくるので、資料を交えながら丁寧に説明する。
その後も打ち合わせは和気あいあいといった雰囲気で滞りなく進んでいった。
「じゃあね、小町さん。また教室で」
「はい」
あらかた方向性が決まると、実登里はそれほど長居せずに帰っていった。