拝啓、愛しのパイロット様

 ◇
 
「うわ。すごいな」
「ここならなんでも揃いますよ」

 出かけたふたりは由桔也が運転する車で、小町が贔屓にしている文房具店を訪れた。

 都内の一等地に店を構える『萬田屋(まんだ)』は、文房具店の中でも老舗で、とにかく品揃えが豊富だ。

 三階建ての広々とした店内には高級万年筆から安価なボールペンまで、千点以上の文房具が並んでいる。

 今日は休日ということもあり、店内は人でごった返していた。
 最近は海外からの観光客がお土産として買い占めていくことも多いらしい。

「新調するって言ってましたけど、具体的にどういうものが欲しいんですか?」

 小町は由桔也がなにを欲しているのか、改めて確認した。
 すべてを紹介しだしたら、とても一日では終わらない。先に要望を聞いておいた方が無難だ。

「そうだな。フライトが終わるとログブックを書くから、それ用のボールペンと手帳カバーが欲しいな。小町が使っていたようなしっかりした作りのものがいい」
「それならこっちですね」

 小町は売れ筋の商品が数多く置かれている一階ではなく、吹き抜けになっている階段を上り、二階へ向かった。
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