あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
白石とは新卒で入社したこの『イマムラ食品製造株式会社』で、最初の三ヶ月間の研修中に知り合った。
同期達が不安と緊張で押しつぶされそうになっていたとき、一人だけ余裕の表情で与えられた課題を難なく熟し、圧倒的な個人成績一位の座を奪っていったシゴデキ男だ。
ちなみに私の当時の個人成績は白石に続く第二位。
グループ成績は奇しくも彼と同じだったこともあって、それはそれは輝かしい一位の表彰台で共に拍手喝采を浴びる経験をした。
そんな縁もあってか、配属先が同じ営業一課だと知ったときは同期の中の誰よりも親しくなるスピードは早かったと思う。
だけどその分、白石の仕事以外の部分を目にすることも多かった。
白石は仕事もできるし、背も高くて顔もいい、いわゆる相当モテる男だ。
同期の中ではダントツ……いや、もしかしたらこの会社全体の男性の中でも上位に食い込むレベルでイケメンだと囁かれているほどに。
そしてその噂に恥じぬ──……スケコマシでもある。
『高野って彼氏いんの?』
『いやぁ、いない。できない、そもそも知り合えない。……そっちは?』
『彼女はいない。つーか、彼女って存在自体あんまり作ったことない』
『なんだぁ、私と同じかぁ』
『でも女は何人かいる。だから一緒ではねぇな』
『──はい?』
これが初めて二人で居酒屋に入ったときに繰り広げられた最初の会話だった。