あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
***
そして迎えた、結婚式当日。
北ヶ瀬さんは私の家まで迎えにきてくれて、予め予約してくれていたサロンへ連れて行ってくれた。
そこでプロのメイクさんに丁寧にセットアップしてもらい、浮腫みを取るマッサージまで施してもらった。
「す、すごい……!プロのメイクさん凄すぎます!」
「あら、そう言ってもらえてこちらも嬉しいです!」
鏡に映る自分を見て、驚きを隠せずにいる。
普段、十五分で終わらせる時短メイクのときとはまるで別人のように大変身を遂げていた自分の姿に惚れ惚れしてしまう。
なんといっても事前に用意されていたこの上品なドレス。上質な生地に、繊細なレースが美しいネイビー色のそれは、上手に体のラインを拾って魅せてくれている。
「あの、このドレスすごく素敵です!私にピッタリのサイズだし、ドラマに出てくる令嬢みたいっていうか……!さすがプロの方ですね!」
「実はですね、そのドレスはご予約されたときに北ヶ瀬様がご自身で用意されたものなんですよ?」
「え?」
「ヘアセットに使っている飾りやネックレスはここのサロンのレンタル品なんですけど、そのドレスだけは彼が持参されたものなんです。お連れ様によくお似合いになるはずだから、と」
メイクさんの何気ない言葉に、私は思わず息を呑んだ。
鏡の中の自分をもう一度見つめる。
体にぴったりと添うサイズ感。落ち着いたネイビーの色合いも、私が普段好んで着ている系統そのものだ。
「(っていうか、どうして彼は私のサイズを知っているの?)」
「(それに、ただのカモフラージュ役のためだけに出席する私に、どうしてわざわざドレスを……?)」