あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
◆第9話:「二人で幸せになる方法」
永遠にも思えるような披露宴も終盤に差し掛かった。
北ヶ瀬さんの『人生の夢」』の話を聞かされたあと、私はひたすら愛想笑いを浮かべ続けた。
〝私は北ヶ瀬さんの隣にいるべきじゃない〟
そう気づいてから、急に北ヶ瀬さんの隣にいるのが苦しくなった。
「(こんなことなら、北ヶ瀬さんへの気持ちに気づくんじゃなかった)」
せっかく里英や由希子のおかげで、自分の気持ちを素直に認めたばかりだというのに。
北ヶ瀬さんと、友達以上の関係になりたいだなんて……そんなこと、思わなければよかった。
それでも私の沈んだ気持ちとは正反対に、披露宴は終わりを迎え、最後に新郎新婦から両親への花束の贈呈が行われた。
感動的な音楽が流れ、会場のあちこちから祝福の声が上がる。
隣に立っている北ヶ瀬さんも、真っ直ぐに裕一さんとその奥様を見つめながらあたたかい拍手を送っていた。
その横顔は、本当に優しくて、穏やかで……どうしようもなく、私の胸を締め付けた。
エントランスで親族達の最後のお見送りまでしっかりと「完璧な彼女」を演じ切った。
口うるさく言っていた北ヶ瀬家の親戚達も、彼の堂々とした立ち振る舞いに、最後は何も言わずに引き下がっていった。
「(これで私の今日の仕事は終わり……)」
すべてのゲストを見送って、あれだけ賑やかだった周囲の喧騒が嘘のように静まり返ったとき。
私の中でギリギリのところで張り詰めていた糸が、音を立ててプツリと切れた。
「和泉さん、本当にお疲れ様でした」
「……」
「親族の相手ばかりさせてしまって、本当にすみません。今、送りの車を手配させますから」
「──北ヶ瀬さん」
──完──