あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
「──私、北ヶ瀬さんのことが好きです」
「え?」
「でも、私じゃあ北ヶ瀬さんの夢を叶えてあげることはきっとできない。あなたの夢を奪うだけのお荷物になってしまう。北ヶ瀬さんには、同じ夢を見てくれる人と一緒に、ちゃんと幸せになってほしいから……だから、私達、もう会うのはやめましょう」
これでいいんだ。
これが正しい選択だ。
北ヶ瀬さんに嫌われたいわけじゃない。
ただ、自分の意固地な人生観のせいで、彼の未来を縛り付けたくなかった。
このまま一緒にいれば、私は絶対に北ヶ瀬さんを手放せなくなってしまう。
そうなる前に終わりにしなくちゃいけない。
私は絞り出すようにそう告げると、掴まれていた手を振り解こうと体を捩った。
これで終わりだ。
できることなら、もっと北ヶ瀬さんと一緒にご飯を食べに行きたかった。
できることなら、もっと楽しいことを一緒に共有したかった。
できることなら、もっともっと、北ヶ瀬さんと一緒にいたかった。
「(さようなら、北ヶ瀬さん──)」
そっと腕を払って、彼の元を離れる。
けれど、北ヶ瀬さんは私を離さなかった。
もう一度私の腕を掴みなおして、包み込むように強く引き寄せた。