あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
「……高野」
その隣で、静かに私の名前を呼んだ白石。
「うん?」と顔を上げると、白石はまっすぐに前を向いたまま口を開いた。
「お前さ、このプロジェクトが終わったら会社……辞める気だろ」
「えっ!?ちょっ、え!?なんで!?どうして分かったの!?私まだ誰にも言ってないんだけど……」
「ふっ、やっぱりな。何年高野と机並べて仕事してきたと思ってんだよ。全部顔に書いてあんだよ」
白石は私の反応を見てフッと笑うと、手に持っていたジュース缶の中身を飲み干した。
その横顔が少しだけ寂しさを纏っているように見えたのは、私の願望からくるものだろうか。
「答え、ちゃんと出したんだな」
「……うん。不器用なりに、いろいろ悩んだけどね」
「そうか。……まぁ、幸せになれよ」
いつものぶっきら棒な声色に、白石らしい温もりを感じる。
私、白石に出会えてよかった。
研修のときから同じ営業一課に配属された今日という日まで、隣にいたのが白石じゃなかったら、きっと何度も挫けて、何度も泣いて、もしかしたらここに私はいなかったかもしれない。
「ありがとう。白石もね」
それから一週間後に、私は退職届を提出した。