あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。





 「(でもやっぱりちょっと怖いんだよねぇ)」

 文面だけでは分からないことが多すぎる。

 変な人だったらどうしよう。実はやばい人だったら?

 ご飯や飲み物に変な薬を入れられて、強制的に眠らされでもしたら──……。


 昔から得意だった想像力が、こういうときに暴走してしまうのが私のよくない癖だ。


 何か怪しいところはないか、不自然なところはないか、何度も北ヶ瀬さんのプロフィールを舐め回すように読み込んだ。

 彼が設定しているアイコンは一切加工されていない、いかにも旅行中に友達に撮ってもらったんだろうなというような素朴なものだった。

 穏やかで優しそうな表情と、ぎこちないピース姿。

 服装も決して着飾っているものではなくて、黒いTシャツにグレーのジョガーパンツに、歩きやすいと有名な某ブランドの靴。

 自己紹介文には、どうやら最近まで海外にいたらしく、この度日本に帰国してきたばかりだということが書かれていた。





 『ほかに質問はありますか?』

 『いえ、もう大丈夫です。ご丁寧に対応してくださってありがとうございました』

 『──それで、僕は合格でしたでしょうか。それとも不合格?』



 北ヶ瀬さんのこの問いかけに、私は頭を悩ませた。

 ここで合格といえば、一度会うことになる。反対に不合格だといえば、ここで彼との縁は切れてしまう。



 北ヶ瀬さんのことを頭のいい人だな、とも思った。

 一切の嫌味なく、それでいて的確にイエスかノーかを聞きだしてくる。



 私は迷った挙句、『合格です』とだけ返信した。

 そして今日、初めて彼と会う約束ができてしまったのだ。





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