あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
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「──和泉さん、で間違いないですか?」
「……あ、はい!えっと、北ヶ瀬さん、ですよね?」
正直、予想外だった。
思わず見惚れてしまいそうになるほど爽やかで、想像の何倍も端正な顔立ちの人が目の前にやってきた。
一五五センチしかない私の身長よりもうんと背が高くて、スラッとしたスタイルが何より彼のスーツ姿を映えさせている。
マッチングアプリでの出会いに、相手の見た目や容姿はどうだってよかった。
変な下心は一切なしで、純粋にご飯やお酒を楽しめるような人であれば誰だってよかったのに。
「えぇ、はじめまして」
「は、初めまして。私、高野和泉と申します!」
「今日はよろしくお願いします。……寒いでしょうから、まずは中に入りましょうか」
彼の容姿に呆気に取られている私を他所に、北ヶ瀬さんは丁寧にイタリアンのお店のドアを開けて、慣れた手つきで私をエスコートする。
店内に入ると着ていたコートを預かってくれて、出迎えにやってきた店員にそれを渡した。
もしかして彼も白石タイプなのだろうか。
「(い、いやいや決めつけるにはまだ早い!)」
私は首をブンブンと振って、必死の平静を装いながら北ヶ瀬さんの後をついて歩いた。