あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
「由希子!」
「こっちこっちー!」
里英と二人で手を振りながら由希子を呼ぶと、こちらの声に気づいた彼女は私達の顔を見た瞬間大きく手を振りかえしながら走ってやってきた。
当時の由希子の豪快さは未だ健在のようで、走ってきた勢いのまま私と里英を思いきり抱きしめる。
「やだー!里英に和泉じゃない!久しぶりだね!」
「く、苦しいんだけど」
「由希子、相変わらず力強いね……」
「そうだ、二人に同窓会参加すること伝えるの忘れてた!ま、参加決めたのが今朝だから言う暇もなかったんだけどね?」
「きょ、今日!?急すぎじゃない?」
「幹事の大原くんにあたしも参加させてーって泣きついたらオッケーもらえたんだよね。さすが大原くん、我らが生徒会長」
「でもどうして急に参加できることになったの?家や旦那さんは平気?」
「平気も何も、今日離婚届出して家飛び出してきた帰りなんだもーん!」
──ん?今、なんて?
由希子の最後の言葉を「ん?」と聞き返しながら首を傾げたのは里英も同じだった。
離婚?家出?そんな重たいワードにそぐわない由希子のハツラツとした声色が全然マッチしていない。
「ごめん、なんて言った?」
「わ、私もちょっと上手く聞き取れなかったかも」
「だから、あたし、旦那と離婚したの」
「いつ?」
「今朝」
「で?」
「離婚したから家出してきたの。だって元旦那の実家に居座るわけにはいかないでしょー?」
「それ、いつの話?」
「今日のお昼前くらいかな?荷物はとりあえず引越し業者に任せて、私は身一つでここまで帰ってきたの」
「で、同窓会に参加してんの?」
「そうだよ?だって同窓会といえば出会いの場でしょ?今の私にピッタリの場じゃない?」