あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
またもや由希子の口からビッグワードが連発した。
あまり現実では聞かないような単語に、私と里英は顔を見合わせながらどんな反応をしていいものかと目配せする。
「あ、あのさ。由希子のその話題ってあたし達どんな反応すれば正解?」
「え、普通に笑い話にしてよ。だって別に離婚したからって人生が終わるわけじゃないし。むしろあたしの第二の人生開幕したってことだからお祝いしてほしい気分だよ?」
由希子はあっさりとそう言って、「やっぱりお腹空いたから何か食べようかな」と言ってメニュー表をペラペラとめくっていく。
高校生のときから由希子は自分の気持ちに素直で、嘘を吐いたり誤魔化したりするような子じゃないことは分かっていた。
とはいえ、私達はもう大人だ。
もしかしたら気を遣わせないようにとわざと明るく振る舞っているのではないか、だなんて深読みした私達が間違っていたらしい。
「じゃ、じゃあ別に深刻にならなくていい感じ……ってことだよね?」
「やだー!なんで深刻になっちゃうの!?いろいろ苦しかったことから解放されたんだよ、あたし!?それに今の時代離婚なんて何も珍しくないし!」
「まぁ、確かにね」
「でしょ?離婚は失敗じゃなくて、経験だよ?まだまだこれからもいろんな経験してみなくちゃね〜!あたしは早く次の幸せを見つけたくてウズウズしてるんだから!」
由希子の笑顔を見て、心底強い子だなと思った。羨ましいとも思った。
それと同時に、彼氏に振られたことを未だに引きずっている自分が小さい人間に見えた。
次々と自分のための幸せを見つけようとしている彼女の隣で、「今」が変わっていくことを怖がっている自分がなんだか少し情けないとさえ感じる。
由希子みたいな考え方を真似すれば、私にだってもっと他の選択肢ができるのだろうか。
「(……いや、でも私は由希子みたいに強くはなれない)」