あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。





 肉食動物の目をした由希子が、右手をこちらへ差し出しながらそう言った。


 「紹介って?」

 「だから、あたしも北ヶ瀬さんと友達になりたいから紹介してってこと」

 「な、なんで!?」

 「だって帰国子女で海外勤務経験ありで、車持ちのイケメンでしょ?そんなハイスペ男性、マークして当然でしょ?」



 由希子の言うマークとは、いわゆる北ヶ瀬さんとそういう関係になりたいということ。

 友達の友達を紹介することはよくあることだ。だから由希子を紹介するのは全然普通のことだと思う。

 だけど、なんだろう。

 この感じ──……。







 「──いらっしゃいませ。五名さまですね、こちらへどうぞ」

 頭の中でこの煮え切らない感情について考えていたとき、ちょうど店内に入ってきた五人組の男性客を見て──……私は思わず大慌てで机の下に隠れた。



 「……!?」

 「ちょっ、和泉!?」

 「アンタいきなり何してんの」

 「し、静かにして!」

 「なんでよ!」

 「みっともないから出てきなさいよ」

 「つ、辻村くんがいるんだってば!」





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