あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
「(なんだか申し訳ないな)」
「でも俺、ぶっちゃけ辻村は元カノさんと結婚すると思ってたわ」
「俺も俺も!つーか、辻村自身も結婚するかも、とか言ってなかったか?」
嫌だ嫌だ、やめてほしい。
今ここで、その話題だけは勘弁してほしい。
私は机の下に潜ったまま、両耳を塞いでしまおうと手で覆ったそのとき。
「……いや、和泉との結婚はだいぶ前に諦めてた」
──え?
辻村くんのその回答に、私はピタリと動きを止めた。
「えぇ、マジ!?」
「なんで!?あのとき同棲も考えて家探ししてただろ?俺にいい物件ないか相談してきたじゃん」
「まぁ、そんな時もあったな。でも一回遠回しに断られてから、もうなんか無理かもとは思ってた」
「あぁ、親に紹介したいって言ってもまだ早い、みたいな断られ方したんだっけ?」
「そう。そのときから本当に和泉のことが好きだったのかもよく分からないし。別れを切り出すタイミングがなかなかなくてダラダラ続いてしまった、みたいなところは正直ある」
「なるほどなぁ」
「でも向こうも辻村と同い年だろ?女って三十までに結婚したがるもんなんじゃねぇの?」
「そこまでは知らないよ」