あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。






 辻村くんの話を聞いて、ストン、と何かが腑に落ちた。

 ある日を境に、同棲の話や親への紹介の話題が出なくなったことや、毎週のように私が辻村くんの家に遊びに行くような流れになったこと、金曜日の夜のご飯会も毎回私がお店選びの担当になったことも。



 〝別れを切り出すタイミングがなかなかなくてダラダラ続いてしまった、みたいなところは正直ある〟


 「……」

 なんだ、私だけが悪いわけじゃなかったんだ。

 辻村くんだって私のこと、ずっと前から好き以外の気持ちが混ざっていたんだ。



 じゃあどうして私だけが悪い、みたいな言い方をしたの?

 『最近さ、俺と一緒にいても楽しくないだろ?』

 『つまらない顔してるのが滲み出てるよ、和泉』

 『そんなの見てると、俺もつらいし』

 『だからもう、ごめんけど別れて』



 辻村くんは確かに私にそう言った。

 全部、私が悪いと思っていた。



 一緒にいても楽しいと思えない私がいけないんだと本気で思っていた。

 俺もつらいと言われて罪悪感で押しつぶされそうになった。



 でもね、辻村くん。

 二人が一緒にいて楽しくなる努力はしてくれた?つまらなそうにしている私に、何かアクションを起こしてくれたことは一度でもあったかな。

 私が毎週のように辻村くんの家にお邪魔して、ご飯を作ったり掃除をしたり、一緒にテレビを観るだけの休日で本当に満足すると思っていたの?




 「(私だけが悪いわけじゃ、なかったんだ)」

 なんだ、そうか、そうだったんだ。


 じわりと溢れ出てくる涙を拭った。

 これでもう、辻村くんに罪悪感を抱かなくて済む。これから先、どこでどんな風に遭遇したとしても、私は堂々としていられる。

 そう思うと、心の中が少しだけ軽くなった気がした。



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