あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
多分、辻村くんは私と結婚する気でいたと思う。
同棲の話もよく話題にしていたし、親に紹介したいとも言ってくれていた。
その気持ちについていけなかったのは、私。
最初に辻村くんから同棲の話が出たとき、今住んでいる家を手放したくないと思った。
一人の空間が必須な私にとって、今の家が快適なあまり離れるのが惜しいと一番に思ってしまった。
それだけじゃない。
一緒に住むってことは、家事やお金の分担はどうするんだろうとか、どの辺りに住むことになるんだろうとか、考えることがたくさんありすぎて嫌になった。
親に紹介したいと言われたときは、「まだ早くない!?」が口から一番に飛び出した。
あのとき辻村くんは「え、そう?」と何気なく聞き返してきただけだけれど、きっとあの瞬間から私の気持ちがついていけてないことは察していたと思う。
それからの私は、彼と会うたびに『楽しい』以外の思いが先行しはじめた。
このまま一緒にいていいのだろうか、とか、毎週会うのが苦しいな、とか。
今度の休みは一人で家でまったり過ごしたいな、とか、メイクをしないでダル着のまま過ごせる一日がほしいな、とか。
辻村くんの予定が急遽合わなくなって、途端にできた一人時間に『やった!』と思った時点で、私は恋愛には向かないタイプなのだとつくづく痛感した。
そして別れ話を切り出された昨日。
二年という月日を共に過ごしてきた人とのお別れはもちろん寂しかった。
けれど、そんな寂しさよりも『解放』という単語が脳裏に浮かび上がってきた私にはもう、恋をする資格すらないのだ。