あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
「もういいの。私、恋愛はしないことにした」
「本当に?」
「本当だよ。ずっと一人で誰にも迷惑かけないように生きていく。これからもバリバリ働いて、高級な老人ホームに入居できるように今からたくさん貯金するの」
「いやぁ、和泉にその生き方は無理じゃない?」
「無理じゃない。老後は個室付きの老人ホームで毎日編み物とかしてゆっくり過ごすっていうところまで想像できてるんだから」
「だってアンタ、寂しがり屋じゃん?孤独大嫌いじゃん」
「そんなことないよ?私、一人時間がないと死んじゃうタイプだし」
「いやいや、今の時代特ね?和泉みたいに、〝一人は好きだけど、孤独は嫌い〟っていう人増えてるらしいよ?」
〝一人は好きだけど、孤独は嫌い〟
「どういう意味?」
「ほら、自分から好んで一人になるのは平気だけど、完全に繋がりを絶たれたり、人と一緒にいたいって思うときに誰もいないときが孤独で、それは嫌だ……的な意味かな?」
「……ハッ。そうかも」
里英の噛み砕いた説明を聞いて、その通りだと思った。
これまでも幾度となく一人が好き、一人の時間を確保できないとダメだと公言してきたけれど、たまにふとした瞬間に急な孤独に苛まれるときがある。
今年二九歳という歳を迎えてからというもの、途端に結婚する友達が増えていった。
それぞれが素敵なパートナーを見つけて家庭を築いていくことは、本当に見ているだけでも幸せな気持ちにさせてくれる。
けれど、それと同時に〝友達〟に費やしてくれる時間はうんと減っていった。
今までのように何かあればすぐにご飯や飲み会に行く回数は激減して、旅行や丸一日かけてどこかへ遊びに出かける友人もめっきり少なくなった。
ライフステージが変われば時間の使い方が変わるのは当たり前だ。
そんなこと十分に理解しているはずなのに、それでもたまに、その事実がとてつもなく悲しくなるときがある。