あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
「何言ってるんですか、北ヶ瀬さん!お店なんて開いてなくていいんですよ!……ほら、あそこにコンビニがあるじゃないですか!」
「え?コンビニ……ですか?」
「はい、ちょっと待っててくださいね!」
私は車を飛び降りて、煌々と明かりの灯るコンビニへ走った。
そして陳列棚に残っていたデザートや飲み物、それから半額シールが貼られたチキンを大量に買い込んで、両手にビニール袋を下げて北ヶ瀬さんの元へ戻っていく。
「ジャン!これ、全部半分こして食べませんか!?」
「コンビニのチキン、ですか?」
「です!車内で食べるのもいいですけど……あそこ、見てください!せっかくだからクリスマスっぽい場所に行きましょうよ!」
ピシッと指差したのは、コンビニへ向かうときに見つけた道路の向かい側にある小さな公園のベンチ。
少しでもクリスマスにあやかろうと申し訳程度にライトアップされたそこは、丁寧に屋根までついている。
「公園の、ベンチ……?和泉さん、寒くないですか?」
「もう十分温まりましたよ、これのおかげで!だから行きましょうよ、今日はクリスマスですし!」
北ヶ瀬さんからもらったカフェラテを見せながら、驚いたように目を丸くする北ヶ瀬さんの手を引いた。
そしてところどころ電球が切れている雑なイルミネーションに照らされながら、私達は小さなケーキをプラスチックのフォークでつつき合う。
冷たい空気の中で食べる半額のチキンは、なぜだか驚くほど美味しく感じる。
大人になってからこんなふうに公園でクリスマスを過ごすなんて初めてのことだった。
だけど、どうしてだろう。
どんな高級レストランでの食事よりも、この寒空で過ごす北ヶ瀬さんとの時間のほうが何倍も楽しいと思ってしまう。