あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
***
「──待ちに待った長期連休!目覚ましの音で起こされないって最高すぎる〜」
遮光カーテンの隙間から差し込むお昼も過ぎた眩しい光を浴びながら、私はベッドの中で幸せな寝返りを打った。
昨夜の北ヶ瀬さんとの夜明けのクリスマス会は結局朝の四時まで続いて、あのあと彼は車で家の目の前まで送り届けてくれた。
「……楽しかったなぁ」
昨夜のことを思い出しては、だらしなくにやけそうになる顔をギュッと枕にうずめる。
マッチングアプリから始まった友達なのだと言い聞かせてはいるけれど、私のピンチを救ってくれたり、大雪の中ずっと待っていてくれたこと、私の好きなラテを覚えていてくれたこと。
そして何より、あの夜明けの静かな二人だけの空間。
〝どうしても和泉さんに会いたかったから〟
「……っ」
昨日の余韻が抜けないまま、私の胸はずっとドキドキと高鳴っている。
「(あ、そうだ北ヶ瀬さんに昨日……いや、もう今日か。お礼のメッセージ送らなきゃ。朝早くに送り届けてもらったままだし)」
ベッドの中でガサゴソとスマホを手に取り、画面を立ち上げる。
そして北ヶ瀬さんとのメッセージアプリを開こうとしたとき、なんとなく目に入ったSNSのアイコン。そこに新着のお知らせ通知が数件ついていることに気づいて、私はいつもの手慣れた手つきでタイムラインをスクロールさせた。
里英はこの年末年始に咲良ちゃんを連れて旦那さんの実家へ帰省することになっているらしい。
咲良ちゃんの顔写真に『新幹線の中で泣きませんように』と書かれてあるストーリーを見てほっこりした。
莉里ちゃんは彼氏と二人で温泉に行っている写真を上げている。
「あ、由希子も更新してるじゃん」
そして、その流れ彼女のアイコンをタップした瞬間。
「──え?」
私の指が、ピタリと止まった。
最近できたばかりのお洒落で豪華なホテルの高層ラウンジで、ガラス越しに雪景色を眺める由希子の投稿写真。
そこには綺麗な横顔をした男性のシルエットが、ほんの少しだけ写り込んでいた。
それは鮮明に見覚えのある、仕立てのいい上品なコート姿の男性。
──北ヶ瀬さんだ。
『これから北ヶ瀬さんとデート♡楽しんじゃうよ〜!』
由希子のその投稿を見た途端、一瞬で血の気が引いて、頭の中が真っ白になっていく。
「由希子と北ヶ瀬さんが……デート?どういう、こと?」