あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
◆第6話:「あなたに触れて、本当の愛と孤独を知った日」
***
「由希子と、北ヶ瀬さん……?どういう、こと?」
画面に表示された『北ヶ瀬さんとデート♡』の文字が、頭の中を掻き乱していく。
北ヶ瀬さんのことは里英と由希子にだけは話を聞いてもらっていたけれど、二人に直接的な接点はなかったはずだ。
由希子はいったいどうやって北ヶ瀬さんと二人で会う約束を取り付けたの?
そもそも、どうして北ヶ瀬さん?
「……もしかして」
そのとき思い出したのは、由希子と久しぶりに再会した同窓会の日のこと。
〝じゃあその人、あたしに紹介してよ〟
〝だから、あたしも北ヶ瀬さんと友達になりたいから紹介してってこと〟
〝だって帰国子女で海外勤務経験ありで、車持ちのイケメンでしょ?そんなハイスペ男性、マークして当然でしょ?〟
旦那さんと離婚して、新しい恋をしようと躍起になっていた由希子。
あのときの彼女の言葉を本気にはしていなかったけれど、まさか、本当に北ヶ瀬さんを狙っているということ?
もう一度目を凝らして由希子の投稿を見入った。
写真の隅でぼやけて写っているその人物は、何度見てもやっぱり北ヶ瀬さんだ。
私が彼のことを見間違えるはずがない。
「だって、昨日会ったばかりだし……」
長期連休初日の高揚感も、昨夜の北ヶ瀬さんとの思いでも、何もかもが遠くのほうに追いやられて、私の頭の中は由希子に関しての疑問ばかりが募っていく。
その時、まるでタイミングを見計らったかのようにスマホが突然ブーッ、ブーッと激しく震えはじめた。
画面にポップアップしたのは、【由希子】の文字。
「へ!?由希子!?」
やけに大きなバイブレーションの音が、部屋の中に不穏に響く。
私は勢いよく体を起き上がらせて、ごくりと唾を飲み込んみながら震える指で通話ボタンを押した。