あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
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「──あの、和泉さん。ここは?」
「ビアホールです!いつも友達と夏になるとビアガーデンに行くんですけど、ここは今年できたばかりの冬限定ビアホールらしくて!テレビで紹介されているのを見て、一度来てみたかったんです!」
今年も残すところあと一日。
世の中は大晦日だからそこまで店内は混雑していないだろうと思っていたけれど、ここはすでに満席でたくさんの人で溢れていた。
大音量のBGMと忙しなく飛び交う注文の声、じゅうじゅうと音を立てるソーセージの煙に、乾杯の音頭。
北ヶ瀬さんはこういう場所にくるのは初めてのようで、キョロキョロと辺りを見渡しながらきれいな所作で席に座った。
由希子と北ヶ瀬さんのことで頭がいっぱいになって、いよいよ限界に達した私の今日の作戦。
その名も『北ヶ瀬さんを酔わせて由希子のことや彼の本音を聞き出そう』作戦。
「和泉さんはお酒が飲みたかったのですか?」
「えーっと、はい!そういえば私達、お酒を飲むのは初めてですよね!」
これまでに北ヶ瀬さんとはもう何度もご飯やショッピング、映画にライブまで一緒に行ってきた仲だけれど、どうしてかお酒だけは一緒に飲む機会がなかった。
事前に頼んでおいた生ビールとおすすめだと書かれてあったソーセージとアヒージョが二人の机の上にドカンと置かれた。
「とりあえず乾杯しませんか!?」
「えぇ、乾杯しましょう」
「今年も一年、たくさんお世話になりました!」
カチン、と大きなジョッキを合わせると、北ヶ瀬さんは嬉しそうに微笑みながら私が勢いよく喉を鳴らしてビールを飲み干す様子をみていた。
「楽しそうですね、和泉さん」
「はい!今年最後の日にずっと行ってみたかった場所でお酒が飲めて幸せです!」
「なるほど。僕はこういう場所は初めてですが、なんだか活気があって元気がもらえますね」
「北ヶ瀬さんってこういう大衆的なお店はあまり来ないんですか?」
「そうですね。高校のときからずっと海外でしたし、向こうでもあまりこういう場には誘われなかったので」