あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。






 「おっと、すみません」

 すっかり顔を赤くして、ふらつきながら前を歩いていたお客さんと肩がぶつかった。



 「きゃっ!」

 その拍子に私の体はぐらりと傾いて、視界がゆっくりと反転していく。

 そして、床に倒れるまでは一瞬のできごとだった。




 「──和泉さん!」

 ガツンという鈍い衝撃のあと、右腕の先から頭の芯まで突き抜けるような激痛が突き抜ける。



 「……うっ」

 息ができない。

 声すら出ないほどの痛みに、目の前が真っ白に明滅する。

 最後に椅子が倒れる大きな音と一緒に聞こえたのは、北ヶ瀬さんの荒げた声だった。







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