あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
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再び鳴り響いたインターホンの音で、私はハッと目を覚ました。
あれから北ヶ瀬さんは片手でも食べられるものや、ギプスをつけたままでも着替えることができる服など、たくさんのものを買ってきてくれていて、それらを簡単に仕分けてから帰って行った。
そして、数時間後。
「また来ますね」と言っていたけれど、まさかその日の夕方に再び来るとは思ってもいなかった。
のそのそとベッドから這い出して、左手でボサボサの髪を手櫛で誤魔化すように抑えながら玄関のドアを開ける。
「おはようございます、和泉さん。──あと、明けましておめでとうですね」
外の冷たい空気と一緒に、仕立てのいいネイビーのコートを着た北ヶ瀬さんが爽やかな笑顔で立っていた。
北ヶ瀬さんだってきっとあまり眠れてはいないはずなのに、疲れというものを知らないのだろうか。
「ハッ!そうでしたね!改めて、明けましておめでとうございます、北ヶ瀬さん今年もよろしくお願いします……って、もうすでにお世話になっちゃってますね」
「どうぞ」と部屋に招くと、きれいな所作で部屋に上がるなりコートを脱ぐ北ヶ瀬さん。
こうして改めてみると、私の家に彼がいることが不思議でならない。
自分だけの空間が大切な私は、昔から滅多に家に人を呼ぶことはなかった。
今の家に住みはじめてからもう五年が経つけれど、これまでここに来たのは里英と辻村くん、それから会社の後輩の莉里ちゃんくらいだ。
そこに今、北ヶ瀬さんが加わった。
マッチングアプリでの出会いから、まさかこんなにも仲が深まるなんて想像もしていなかった。
「和泉さん、ご飯は食べましたか?」
「あ、いえ、まだ何も食べていなくて」
「じゃあ僕が何か作りましょう」
「へ!?い、いやいや!そんな、大丈夫ですよ!……あ!そうだ、私、お節料理作ってみたんです!全部動画を見ながら、見よう見まねでやってみたんですけど、よかったら北ヶ瀬さんも一緒に食べませんか?」
「いいんですか?」
「もちろん!」
すっかり忘れていた、冷蔵庫に保管されたお節料理。
お重箱を用意する時間はなかったから、タッパに詰めていたそれらを準備しようとすると、スッと北ヶ瀬さんの腕が伸びてくる。