あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
「用意は僕がしますから、和泉さんは座っていてください」
「で、でも!」
「昨日言ったでしょう?もっと僕を頼ってほしい、と」
「……!」
私の肩に手を添えながら食卓に座らせると、北ヶ瀬さんはキッチンに戻って用意をはじめる。
自分の家のキッチンに、北ヶ瀬さんがいる。その事実だけで、胸の奥がギュッと熱くなった。
「──いただきます」
北ヶ瀬さんとはこれまで幾度となくご飯を共にしてきたけれど、おうちご飯は初めてだ。
二人用の小さな机に、向かい合うようにして座りながらお節を食べていく。
「これ、全部和泉さんが作られたんですよね。どれも美味しくてビックリです」
「動画のおかげです!初めて作ってみたので、自信はなかったんですけど」
「もう何年もお節料理を食べていなかったので、本当に嬉しいです」
北ヶ瀬さんは普段からご飯をよく食べる。
これまで一度だってお店で出されたものを残したことはないし、好き嫌いもしないような人だ。
「(自分で作ったものをこんなふうに美味しそうに食べてくれるのって……なんだか幸せかも)」