あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。





 「できた!」

 「信じられない。こんな意味不明でめんどくさい女、絶対誰からもマッチングされないよ」

 「いいの、私はこれでいくの!」

 自信満々に登録ボタンを押して、私は晴れてマッチングアプリの経験者になった。





 「遅くまでごめんね里英!また家にお邪魔させてね!」

 「いつでも来ればいいけど、それよりマッチした人いたら教えてよ?……ま、あんな自己紹介文じゃ誰も寄りつかないだろうけど」

 「う、うるさいな!あれはあれでいいの!マッチングしなかったらそれまでだし!」

 「あたしは和泉が孤独死だけはしないよう祈ってるから」

 「はい、NGワード!」


 玄関先で靴を履いて、私は里英と咲良ちゃんに手を振って別れを告げた。

 里英の言うとおり、きっとこんな私と会ってみたいと思う人なんていないと分かってはいても、ほんの少しだけ、心のどこかで期待していたりもした。



 けれど、案の定いつまで経っても私の元へは誰もマッチする人は現れなかった。

 次第に私はマッチングアプリの存在さえ忘れてしまうほどにいつもの日常に溶け込んで、だんだんと冷え込んできた十一月の終わりに肩を窄めた。

 これが私の運命なのかも。

 そんなふうに自分の人生を解釈しようとしていた。







 ──ピコンッ。

 【KoiKoiアプリからの一件の通知:『なつっきー』さんがあなたにイイねを付けました】

 ──ピコンッ。

 【KoiKoiアプリから一件の通知:『なつっきー』さんがあなたにメッセージを送信しました』






 『はじめまして。北ヶ瀬夏樹と申します。

 自己紹介文を拝見しました。僕もいずみさんと同じように友達を探しています。

 よければ一度お会いしませんか?

 お返事、お待ちしております。』






 「え、え?私とマッチングしたってこと!?」



 ───変な人だ。

 これが、彼に抱いた最初の印象だった。




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