あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
◆第7話:「これが恋だと自覚したから」
「なんか、思っていたより部屋きれいじゃない?」
「確かに。いつもの和泉の部屋の十倍きれいになってる感じがするんだけど」
「アハハ……。大晦日に大掃除したからじゃないかな」
──まずい。
「でもタオルの畳み方、いつもと違くない?和泉ったらいつも生地の裏表とか関係なく畳んでいっちゃうよね。うちに来るときよく洗濯物畳んでくれるじゃない?あれ、正直イラッとしてたんだよね」
「な、何それひどい……!私は育児に疲れてる里英を思ってやってあげてたのに!」
「だけど、ほらこれ。全部丁寧に四つ角も揃えられているし、第一こんなの片腕でできる?」
──やばい。
「ねぇ、それより誰か来てた?」
「由希子……なんで?」
「だってこの部屋、男物の香水の匂いで充満してるんだもん」
──ダメだ、これ以上はもう誤魔化せない!
里英と由希子の観察眼に、防戦一方の私はついに逃げ場を失った。
現在進行形で家事育児に専念している里英と、ついこの前まで専業主婦をしていた由希子の目の付け所は、私が気づけなかった細かいところにまで及ぶ。
隠しきれなかった北ヶ瀬さんの痕跡が、まだ部屋のあちこちに散らばっていた。
二人の鋭い視線が、私の顔に突き刺さる。